「ページ・ワン」とは新聞の朝刊の一面のこと。新聞社の広告収入が激減して新聞社の破綻や記者のレイオフなどがアメリカで大きな話題になっていた頃のニューヨーク・タイムズの中での様子を一年間密着したドキュメンタリー映画です。先日偶然観る機会があり、あまりに秀逸だったので共有させていただきますね。

pageone

封切りは20011年夏、既に3年前の映画ではあるものの、Twitter、 Facebook、 Blog、 オンラインニュースメディアにiPad、Wikileaks等々がちょうど世の中で大きな力を示し始める頃に、伝統的なジャーナリズムのあり方の大切さ、そして求められる変容の様子が丁寧に描かれています。

今日の日本の文脈でもきっと参考になる部分があるのではないかと思います。まずは予告動画を。

2010年当時のそして今日も続いている新聞業界の広告収入減少傾向を示す以下のグラフを観ると、現場の臨場感・危機感がリアルに感じられます。Columbia Jounalism Review によると、リーマンショック前の2007年から現在に至るまで、毎年平均12.4%収益が減少しているそうです。

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映画の中でとても印象的だったのはニューヨーク・タイムズの中でメディアの動向をレポートするメディア・デスクの名物コラムニスト、デービッド・カーさん(@carr2n)と、インターネット時代の申し子を具現するブライアン・ステルターさん(@brianstelter)とのやりとりです。デービッドさんはミネソタやワシントンのオルターナティブ週刊誌の記者・エディター職を経て、2002年からニューヨーク・タイムズでメディア業界のことをレポートするコラムニスト。かつてコカイン中毒者という一風変わった経歴を持ちながらも、伝統的なジャーナリズムの大切さを雄弁に語り、いわばこの映画の主人公・ヒーローのような存在です。

一方ブライアンさんは大学生の頃に始めたテレビ・ニュース業界のことを綴ったブログサイト「TVNewser」で一躍有名になり(後日Mediabistroに売却)、その後新卒でニューヨーク・タイムズの記者になり、新しく生まれつつあるデジタル・ジャーナリズムの申し子としての存在感を遺憾なく発揮しています。ちなみにブライアンさんは昨年11月にCNNに移籍、「Reliable Sources」というメディア業界のトレンドをレポートする伝統ある番組のホストとしてますます活躍の幅を広げています。現在弱冠29歳、大学生時代にニューヨーク・タイムズで有名ブロガーとして取り上げられた当時の様子を振り返るにつけ、新しいメディアを担う新世代の躍動感を感じずにはいられません。

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映画上映から3年を経て、現在のニューヨーク・タイムズは広告収入の減少は依然大きな課題として直面しつつも、ウェブサイトの大幅リニューアル、モバイルアプリ「NYT Now」のリリース、データ・ジャーナリズムの試みとしての「The Upshot」をスタートさせ、デジタル時代に併せたダイナミックなイノベーションを次々と繰り出しています。昨日発表された決算発表によると電子版の有料購読者もほぼ80万人に達し(2014年第1四半期で3万9000人の増加、$40.3 millionの収益)、昨年の時点でデジタル広告の収入を超える水準に至ってます(出所:Columbia Journalism Review)

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以上簡単ではありますが、偶然目にしたドキュメンタリー映画『Page One』を観て、過去3年間のニューヨークタイムズの果敢な挑戦、そして映画に登場していたユニークな登場人物のその後の活躍ぶりに思いを馳せながら、ニュース業界の地殻変動の大きさを感じます。

特にここ最近はやや加熱気味とも思える新興オンラインメディアサイトの登場、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資、ニュース・キュレーションアプリの登場、Facebookまでもがニュースワイヤーサービスを始めるに至り、この中からどんなものが生まれてくるのか、個人としてどう向き合ったらいいのか、とても気になるところです。

ただ、今回の「Page One』のような良質なドキュメンタリー映画、関連ニュースなどの情報に関し、言語の壁もあるとは思いますが日本国内であまりに流通していないことに対し、とても残念であると強く感じます。今後ささやながらでも本ブログやツイッター(@socialcompany)を通じてその差を埋めることが出来たらと思ってます。よろしければぜひお付き合いください:)。

市川裕康
email|Twitter (SocialCompany)|Linkedin|Facebook Page|メルマガ(近日再開予定)

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  1. […] ブライアンさんは大学生の頃に始めたテレビ・ニュース業界のことを綴ったブログサイト「TVNewser 」で一躍有名になり(後日Mediabistroに売却)、その後新卒でニューヨーク・タイムズ の記者になり、新しく生まれつつあるデジタル・ジャーナリズムの申し子としての存在感を遺憾なく発揮しています。ちなみにブライアンさんは昨年11月にCNNに移籍、「Reliable Sources 」というメディア業界のトレンドをレポートする伝統ある番組のホストとしてますます活躍の幅を広げています。現在弱冠29歳、大学生時代にニューヨーク・タイムズで有名ブロガーとして取り上げられた当時の様子 を振り返るにつけ、新しいメディアを担う新世代の躍動感を感じずにはいられません。ニューヨーク・タイムズの&#65… […]

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  2. […] ブライアンさんは大学生の頃に始めたテレビ・ニュース業界のことを綴ったブログサイト「TVNewser 」で一躍有名になり(後日Mediabistroに売却)、その後新卒でニューヨーク・タイムズ の記者になり、新しく生まれつつあるデジタル・ジャーナリズムの申し子としての存在感を遺憾なく発揮しています。ちなみにブライアンさんは昨年11月にCNNに移籍、「Reliable Sources 」というメディア業界のトレンドをレポートする伝統ある番組のホストとしてますます活躍の幅を広げています。現在弱冠29歳、大学生時代にニューヨーク・タイムズで有名ブロガーとして取り上げられた当時の様子 を振り返るにつけ、新しいメディアを担う新世代の躍動感を感じずにはいられません。ニューヨーク・タイムズの&#65… […]

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