学生時代からの友人、知人、仲間、お世話になった方など、自分自身歳を重ねることでがんと向き合っている方、そして特に「サバイバー」として患者さん、そのご家族・友人など含め支援の活動に取り組んでいる方と触れるご縁もあり、以前からがん患者さんを支援するためのソーシャルメディアの活用事例など、海外事例を記事として書かせて頂くことが何度かありました。また昨年8月に開催された「Over Cancer Together」というキャンペーンのためのスピーキング・セミナーでは、「がん患者さんのためのソーシャルメディア活用」というテーマでお話させて頂く機会がありました。
“Power of Story Telling” がん患者さんのソーシャルメディア活用 [スライド共有] | SocialCompany.org(2013年8月25日)
そのセミナー会場で一度だけですがお目にかかった鈴木美穂さんが(共同代表の秋山正子さんと共に)立ち上げられたクラウドファンディングのキャンペーンが今、多くの方々の共感を呼び、11/14時点で570名以上の方から、1000万円以上の寄付が寄せられています。
がん患者が自分の力を取り戻すための場マギーズセンターを東京に(ReadyFor?)
https://readyfor.jp/projects/maggiestokyo
website: http://maggiestokyo.org/
Twitter: @maggiestokyo
Facebook:https://www.facebook.com/maggiestokyo
「Readyfor?」というクラウドファンディングプラットフォーム上で行われているキャンペーンの名前は「がん患者が自分の力を取り戻すための場マギーズセンターを東京に」と題され、『英国にある「マギーズセンター」というがん患者と支える人たちのための相談支援センターを日本(まずは東京)に実現させるため』に目標3500万円の寄付を集めるべく、活動されています。
今回のキャンペーンの〆切が11/22ということでキャンペーンの終盤に差し掛かり、とはいえまだまだ支援が必要とのこと、応援の気持ちも込めてブログでご紹介させて頂くことにしました:)
ちょうど昨日のブログでご紹介したストーリーテリングの大切さを謳う書籍「SmartCuts」のことも思い出しながら、なぜこのキャンペーンが大事で、なぜこのキャンペーンが成功すると思うかを昨日の投稿を振り返りながらご紹介したいと思います。書籍で紹介されていた9つのポイントに沿って「マギーズ東京プロジェクト」のことをご紹介してみたいと思います。
コンテンツマーケティング分野の注目企業、Contently共同創業者Shane Snowさんの新刊、『SmartCuts』が示すライフハッキング | SocialCompany.org
1) Hacking the ladder (ハシゴを攻略する:決められた従来の方法以外を見つけ出す)
『寄り添う~キュアからケアへ~』と題する共同代表の秋山正子さんのインタビュー記事をご覧になるとマギーズ・センターの取り組みが従来の治療の枠組みにはない、新しい取り組みを求めて提唱されていることがわかります。
「がんかもしれないという不安を抱えている人から、大事な人をがんで亡くして心の傷が癒えない遺族まで、がんの”旅路”のどの時点でも、予約なしでふらっと立ち寄れ、話を聞いてくれて、自分の力や自分らしさを取り戻すのを手伝ってくれる。マギーズセンターはそんな場所でした」
都会の限界集落にある、あたたかい「保健室」:第3回 寄り添う~キュアからケアへ~:ノバルティス ファーマ株式会社 オンコロジー
2)Training with Masters (その道のプロを目指し地道な訓練をする(身近にメンターがいなければ歴史上の人物から学ぶことも)
「maggie’s tokyo」が突然多くの人の共感を呼んだのではなく、鈴木さん・秋山さんが今日に至るまで職業・人生経験を積んでメディア・看護の分野などで下準備となるご経験を積まれていることが以下のインタビューなどをご覧になると分かります↓。
・テレビ局報道記者・がん患者向け施設運営準備 鈴木 美穂さんの人生インタビュー
・「生きる喜びを感じられる安息所がほしい」:がんナビ(2010年)
3)Rapid Feedback (常にフィードバックを求めることで改善のヒントを得る)
今回「ReadyFor」のクラウドファンディングプラットフォームを活用されることできっと多くのフィードバックなどが寄せられていることと推察します。
個人的にはツイッター上での拡散など、例えばハッシュタグ「#maggiestokyo」などを活用されることでもっともっとキャンペーンが広がるのでは、と今更ながらですが思うので一言。
(Topsyというツールを使うとTwitter上でキャンペーンサイトがどんな風に共有されているか見ることができます)。ハッシュタグについて分かりにくい場合はこちらの紹介動画[what is hashtag?]、是非ご覧になってみてください:)
4)Platforms (人とのつながり、自分の経験を活かしながらプラットフォームを構築する)
こちらも鈴木さん、秋山さんの今までの幅広い活動を拝見するにつけ、メディア、看護領域にとどまらない多くの支援の輪の広がりに驚きます。
例えば鈴木さんはご自身ががんであることを宣告された後、若くしてがんになった人を応援するためのフリーペーパー『STAND UP!!』を立ち上げたり、2013年からウィーンで開催されていた国際会議IEEPO(International Experience Exchange for Patient Organizations) に参加されたり、“Congratulations on your Unique Experience”という頭文字から名付けたがん患者さん向けのヨガなどのワークショップを行う活動『Cue!』を始めるなど、幅広い活動を通じてネットワーク構築にも取り組まれている様子が分かります。
5)Catching Waves (時代の流れなどを味方につける)
ここ数年、Facebook Twitterなどのソーシャルメディアの広がりにより患者さん同士を知識・共感をつなげることで治療活動や支援の活動を広げることが広がっています。海外ではePatientムーブメントと呼ばれるような気運が広がり(ePatientディブさんのTED Talkは是非ご覧になってみてください:))、国内でも信頼に足る情報ポータルとしての「キャンサーチャンネル」の活動が広がり、海外で生まれたがんサバイバーのための支援団体LIVESTRONG の日本支部 LIVESTRONG Japanも年々活動の幅が広がっています。鈴木さんも登場されている動画なども活用した体験談の共有サイト「がんノート」も貴重な情報が満載です。
6) Superconnecting (よい意味でのネットワーキングを大切にする。自分が得たつながりを人のためにもPay Forwardする)
11/22にはクラウドファンディングキャンペーン終了日に合わせてカウントダウンパーティが開催されるとのことで、ご自身もサバイバーでいらっしゃるミュージシャンの都啓一さんと、シンガーソングライターの久宝留理子さんご夫妻も登場されるなど、それ以外にも多くの方のつながりがあってこそのキャンペーンだと思います。ただ目標の3500万を実現するためには財団や篤志家の方の登場、期待されるところですね。期待しています:)
7) Momentum (機運、それまでの実績をその後に繋げる)
ReadyForのキャンペーンには「新着情報」というコーナーがあり、そこをご覧になると本キャンペーンの新着情報が25回も更新されており、進捗やチームの取り組みの様子などがとてもよく伝わってきます。また、「応援コメント一覧」を見ると、キャンペーンに参加している方々の応援メッセージ(現時点で573名)を閲覧することが可能です。
その他大手メディアでも以下のように次々とご紹介されています。
・がん患者が安心して過ごせる空間「マギーズセンター」とは? 24歳で乳がん経験、鈴木美穂さんに聞く
・がん患者の悩みと向き合って 支援施設開設へ「マギーズ東京プロジェクト」 – 産経ニュース
・毎日新聞での紹介記事(Facebookより)
8) Simplicity (できるだけ物事をシンプルに)
クラウドファンディングのしくみの良さとして「〆切」を設けること、具体的な目標を掲げること(マギーズセンターの設立のために3500万円をあつめること)があり、シンプルな枠組みがあることで今回のような動きが広がっているのではないかと思います。
9) 10X Thinking(10倍思考、ものごとを少しよくするのでなく、実現できそうでなくとも意義・大義のある大きな夢・目標を掲げることで支援やコラボレーションをより産みやすくする)
「10倍思考」とは、普通では実現不可能と思えるような目標を掲げることでより実現を可能にするような取り組みを指します。「来年の売り上げは前年比20%アップ!」よりも、ケネディ大統領が掲げた「月に人を送る!」やキング牧師が掲げた黒人の市民権を!」というメッセージを掲げることで、より多くの支援の輪が広がる様子が書籍『SmartCut』の中では描かれています。イーロン・マスクが民間企業による宇宙開発の夢に取り組んでいる様子などは身震いするものでした。今回の「マギーズ東京プロジェクト」によるチャレンジ、そして3500万円という金額は普通に考えると不可能に思えるのですが、こうした大義があり、多くの人が自分ごととして取り組めるような大きな目標を掲げることで、もはや鈴木さん、秋山さんの取り組みではなく、がんと闘う、これから闘うかもしれない多くの人にとっての共通のプロジェクトとして支援が広がっていくのではないかと思います。
最近がんの宣告を受けたという友人のお見舞いに病院を訪れる機会がありました。がんと一言といっても病種、ステージ、ソーシャルメディアなどへの抵抗のあるなし、などによってこうして公の場所で自分の経験を語る事に抵抗がある方も当然多くいることと思います。とはいえ、こうしたストーリーが広がることでまずはそうした情報を知ることで勇気を得たり、大切な治療情報を発見したり、なんらかの一歩に繋がっていくこともあるのではないかと思います。特に希少性の高いがんの場合、自分の求めている情報をなかなか見つけられないことで不安な日々を過ごしている方も多いことと思います。一人一人の経験、知識、専門性、ユニークな経験が、まだ会ったこともないような誰かにとって力となり、励みとなり、少しでも笑顔が広がることを願いつつ、まずは「マギーズ東京プロジェクト」の成功、心より願ってます。そしてまだ限られた人にしか状況を相談できない状態と思われる友人にとっても、こうしたキャンペーンが成功し、よい形で希望をあたえてくれるものになること、願ってます。
市川裕康
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