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毎年6月に米国ニューヨークで開催されているテクノロジーと行政・政治・市民参画に関する国際会議、『パーソナル・デモクラシー・フォーラム(Personal Democracy Forum : 以下PDF)』の参加レポートを、行政と情報システムに関する専門誌『行政&情報システム』(一般社団法人行政情報システム研究所発行)8月号に以下のタイトルで寄稿させていただきました。

『行政・政治・市民参画に関するデジタルトレンドの今を知るイベント、パーソナル・デモクラシー・フォーラム(PDF)参加レポート』
『行政&情報システム』2014年4月号
 

PDF 2014 Report by anon_5759296

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*定期購読のみで書店では販売していない専門誌なのですが、今回は特別にPDFにて記事を公開共有頂きました。よろしければ上記リンクよりぜひご覧ください(全7ページ)。目次はこちらからPDFでご覧になって頂けます。

開催から既に2ヶ月が過ぎてしまってはいるのですが、昨年に続き2年続けてPDFに参加したことで学んだ、海外(主に米国)で起きている行政・市民参画分野におけるテクノロジー活用のトレンドについて主に以下4つの点に関してご紹介させて頂きました。要点だけ以下で少し共有させて頂きますね。

【1】パーソナル・デモクラシー・フォーラム(PDF)とは
PDFとは、起業家、社会起業家、アクティビスト、企業の政策担当者、ハッカー、ジャーナリスト、学者、政治家、連邦政府・地方自治体政府・財団・NPO職員などが一堂に会し、テクノロジーがいかに行政、政治、市民活動にインパクトを与えるか、というテーマについて、2日間、議論・ネットワーキングが行われるカンファレンスです。イベントはパーソナル・デモクラシー・メディア社が主催し、2004年の第1回開催以来、米国からの参加者を中心に近年は約800名が集い、数多くのリピーターを含むひとつの「コミュニティ」として進化を続けてきています。
参照:昨年参加した際のレポート@現代ビジネス

【2】インターネット「を」救う(Save the Internet)とは?(今年のカンファレンステーマ “Save the Internet, Internet Saves”より)
2日間のカンファレンスの一日目はまずインターネット「を」救うための議論として、国家、大企業などにより脅かされているインターネットのプライバシー、中立性について、様々な立場から議論が行われました。その中でも最も注目を集めたのは、現在ロシアに亡命中のエドワード・スノーデン氏によるビデオを通じての登壇でした。

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【3】インターネット「が」救う(The Internet Saves)?(今年のカンファレンステーマ “Save the Internet, Internet Saves”より)
2日目は一転、インターネット「が」救う議論として、地域コミュニティがタブレットやクラウドソーシングを活用し、協業することで荒廃した地域を再生するプロジェクトの話や、政府をハック(Hack)するのではなく、行政といかに連携しコラボレーションを進めていくかの話について語る登壇者が数多くいました。

その中でも最も印象に残ったのは、英国政府デジタル・サービス部門(Government Digital Service)のエグゼクティブ・ディレクター、マイク・ブラッケン(Mike Bracken)氏でした。イギリス政府が2012年10月に正式リリースし、ユーザー目線に立った非常に使いやすいウェブサービスとして世界的にも高い評価を得ている「GOV.UK」の立ち上げから運営までを統括している人物です。ブラッケン氏は、壇上にて開口一番、「私は政府で働いているがとても充実している」と力強く訴えかけ、前日話題になったNSAなどによるインターネットの監視問題も大事だが、民主主義を促進させるためには、ユーザーの視点に立った日々のサービス提供の充実が何より大事であることを述べました。つまり、運転免許証の試験の予約をしたり、税金を払ったり、婚姻届けを提出したり、会社登記を行ったり、というような一見地味なことを、インターネットを活用することでいかに簡単で、早く、ストレスなく実現できることの大切さです。

「GOV.UK」とは、かつて乱立していた何百もの政府関連ウェブサイトを、ユーザーからのヒヤリングやデータ分析を行った上でひとつに統合し、アジャイル開発を行うことで使い勝手のよいサービスとして今日利用されているものです。行政サービス関連のデータの多くがリアルタイムでビジュアライズ化され閲覧可能で、PC、タブレット、スマートフォンから見ても洗練されたデザインも評価が高いポイントです。ウェブサイトを統合したことで2013年から2014年にかけて6,200万パウンド(約108億円)の予算節約に成功、国内外の数々の賞を受賞しています。

ブラッケン氏はいかに政府の外から優秀な人材・テクノロジーを採用し、政府の中でそれらを実際に活用するか、その秘訣などを自身の経験から3つのポイントにまとめて語っていました。まず、テクノロジーを活用することでどのようなことが実現可能かを見せること、そして価値観を共有していることを見せること、さらに一緒に最後まで付き合うつもりであることを示すことの重要性を訴えました。なお、印象的だったのは行政サービスを改善するためには周辺の瑣末なところから取り組むのではなく、本質的で困難な問題を解決することから始めるべき、との主張でした。「バス停に関するアプリ」のようなものは残念ながら民主主義にイノベーションを起こすことはできない、と比喩的に語った様子からは、「GOV.UK」を成功に導いた自負が感じられました。

【4】PDFに参加することで得られることとは?
アメリカで起きている「シビックテック」セクターの躍動感、コミュニティ間の強い繋がり、そこから次々と生まれてくる新しいサービス、イノベーションを体感することができたことは何よりの収穫でした。残念ながらPDFへの日本からの参加者に関し、今年は私1人でした(昨年は2人、今年はアメリカを拠点に活躍されている日本人の方が参加されていました)。本誌をご覧になっている各分野のプロフェッショナルの皆様が来年はより多く参加されることを願ってます:)

ちょうど今日(米国時間で8/11)に、米国ホワイトハウスでも、英国政府デジタル・サービス部門に続き、「U.S. Digital Service」という正式なチームを発足させるというリリースがありました。昨年秋の医療保険改革(オバマケア)の柱であるオンライン保険購入システム「HealthCare.gov」がオープン直後にクラッシュした際にGoogle, Facebookで勤務経験を持つプロフェッショナルチームが中心で招集され、そのメンバーが中心に構成されていています。来年度はさらに予算額も増えるとのことです。併せて発表された13の行動指針がまとめられた「Digital Services Playbook」など、とても先端的で消費者目線に立ち、民間に負けない優れた人材を集めるための取組が詳細に描かれています。英国で起きたことが米国に伝播して、日本版「政府・デジタル・サービス:Goernment Digital Service)]が出来るのも時間の問題(?)なのでは、と期待しています:)。

White House launches ‘U.S. Digital Service,’ with HealthCare.gov fixer at the helm – The Washington Post

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市川裕康
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