今求められる情報の意味付け・整理〜約80億円の追加出資獲得のQAサイト、Quora (クオラ)
「Quora(クオラ)」と呼ばれるQAサービス、使っている方はどのくらいいるでしょうか?自分もかつて何回か質問して良質な回答をもらったことがあるものの、そこまで頻繁に使ってませんでした。ただこれからは使ってみよう!と強く思えるいくつかのきっかけがあったので備忘録的にまとめておきたいと思います。
QuoraとはFacebookの元CTO、Adam D’Angelo らが中心となって2010年6月にリリースされたQ&Aサービス。ニューヨークやシリコンバレーのエンジニアやスタートアップの経営者などが実名で質問したり回答したりすることで一躍注目を浴び、オープン当時は日本でも一部の間でとても話題になっていましたね。ただ、その後はアメリカでも日本でも一部のコアなユーザーが使っているサイト、という印象でした。
今回唸るようにQuoraのことを書き記しておきたかったのは以下の3つの理由からです。
【1】推定企業価値900億円、合計資金調達額141億円、売上ゼロ
サイト開設から売上が一切ないQAサービスに対し、2014年4月上旬、約80億円もの追加投資が行われ(推定企業価値約900億円)、永久に独立性を保ち、サービスの継続を目指すというニュースが報じられたからです。投資家には著名ベンチャーキャピタリストのPeter Thiel(Paypal共同創業者、Facebookへの最初の投資家、フィランソロフィー活動家としても知られている注目の人物)も含まれています。今回調達した資金約80億円はほぼそのまま銀行口座に預けるとのことですが、現在約70名のスタッフを拡充し、今後英語以外の言語への対応にも取り組み、来年からは広告サービスも始めるとのことです。
情報源:Quora Raises $80M Led by Tiger Global, Now Valued at $900M | Re/code
【2】ゆっくりではあるものの着実な成長ぶり
2014年3月にはオバマ大統領を第一号として認証アカウントの設置をしたりして、爆発的ではないものの、着実に成長している様子が感じられたこと。昨年春にはサイトユーザー数が1年前の3倍となり、積極採用を行うための以下の紹介動画がアップされています。短期的な成長や他社からの買収、IPOを狙うのではなく、10年〜15年スパンで社会のために本当に役に立つサービスを創ることをミッションに掲げ、優秀なエンジニアが日々サービス改善に取り組んでいる様子を見ることができます。
*Quora、過去1年間にユーザー数等3倍増 | TechCrunch Japan
【3】オンライン・ジャーナリズム分野で求められる『wikipedia化』?
実はこの点が気になってQuoraのことを調べてみる気になったのですが、先日新しく生まれたばかりの新しいオンライン・ジャーナリズム・サイト『Vox』に象徴されるような、新しく、日々生まれる複雑な事象に解説・意味付けを試みる[explanatory journalism(解説ジャーナリズム)]に対する時代の欲求が高まっていると感じます。Voxは『FiveThirtyEithg』『Upshot』などと共に、最近立て続けに生まれている3大新興オンラインニュースサイトの一つで、その中でも「注目のニュースについて、知りたいこと、分からないことが、すぐ理解できる」ことを強みにしています。詳細は以下参照ください。
・進化するニュースがウィキペディア化していく | 新聞紙学的
ただ、ここにきて驚くのは、常に変化しつつある事象、国際情勢などを少人数で解説を試みる『Vox』はうまくいかないのではないか、だったら「Wikipedia」があるし、クラウドソーシングでより多くの人の知見を取り入れないと実際全ての情報をフレッシュに保つことは不可能なのではないかという批判が相次いでいることです。
Why Vox (and other news orgs) could use a librarian » Nieman Journalism Lab
開設後まだ1ヶ月も経ってないサイトに対しての議論なのでまだまだ今後サイトのサービス改善などはあると思いますが、改めて「分かりやすい用語解説」「QAサービス」「情報の整理・意味付け」に対するじわじわと盛り上がるニーズが、以下のようなキーワードを押し上げているのでは、と思いました。
「データ・ジャーナリズム」、「データ・ビジュアライゼーション」、「ニュースのWikipedia化」、「キュレーション」、「QAサービス(Linkedin Group, Twitter共同創業者Biz Stone氏が始めた画像・位置情報付モバイルQAサービス、Jelly)」、「nanapi」、「naverまとめ」、「池上彰的解説?(笑)」・・・・
そんな中、Quoraはこつこつと、マイペースでサービスを改善している姿に好感を持った次第です。小さな取り組みかもしれませんがBBCと提携してQuoraでの質問に寄せられた質の高い回答を記事として配信するという試みを「旅行」「金融」「自動車」の分野で展開しています。実名に基づいた信頼性の高いQ&Aのやり取りが価値を持ち、少しずつ広がりを見せているようです。
実際にQuoraを使い倒している分けではないので、まずは気になった情報だけ書き残しておくことに留めますね。またいずれ使用後の感想などレポートしたいと思います。一方で「キュレーション」「情報の整理・意味付け」というテーマに対しては引き続き注目していきたいと思います。
参考情報:画像主体のQ&Aアプリ「Jelly」レビュー–Twitter共同創設者B・ストーン氏による新サービス – CNET Japan
市川裕康
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