2012年に読んだ本の中で自分の中でもトップ5に入るほど印象深かった本『カブーム!――100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト』の著者&団体創業者であるダレル・ハモンド(Darell Hammond) さんが緊急来日されているということで急遽、出版元の英治出版さんを訪れる機会を頂きました。訪れたEIJI PRESS Labはちょうど前日に14回目の株主総会を終えたばかりで素敵なディスプレイが満載でした:)

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*写真中央のダレルさんと英治出版のスタッフのみなさん

まだまだ『カブーム!』のことを知らない方も多いと思いますが、是非多くの方に「知っていただきたい!」と思える活動をしている団体・創業者であることもあり、いくつかの写真と伺った話など、レポートしたいと思います。

【『カブーム!』とは】
kaboom
カブーム!――100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト』[英治出版 2012年8月:ダレル ハモンド さん(著), 関 美和さん (翻訳)]
▶昨年8月出版社から献本を頂戴して速報でレビューを書かせていただきました↓
「公園造り」で全米2000以上の地域コミュニティを再生した非営利団体がある 
「デジタル・キュレーション」 | 現代ビジネス [講談社] (2012年8月26日)

カブーム!とは、簡単に言うと、全米各地に公園を造ることで子供たちに遊び場を提供する非営利法人です。もともと「Kaboom!」とは、英語の漫画で吹き出しなどに使われる「どっか~ん!」という爆発音を意味しています。

カブーム!の公園造りの方法はきわめてユニークです。彼らのプロジェクトでは、まず地域のコミュニティが数ヵ月の時間をかけて知恵とお金を集め、資材などを準備します。そして、ある1日を「建設の日」と決めて、その日だけで一気に公園を完成させてしまうのです。「建設の日」が終わる際には、みんなが描いていた公園造りの夢が「どっか~ん!」と実現している・・・。団体名はそこに由来しています。

アメリカの貧困地域には、近所に公園などの遊び場がない子供たちが数多く存在しています。そうしたコミュニティの問題解決の手段として、カブーム!は、地域住民や地域の非営利団体や企業を巻き込みながら、「公園を造る」というプロジェクトを15年以上も続けてきました。その結果、2100以上もの公園が建設されています。

“優れたビジョンを持った組織が適切に運営されることで、地域コミュニティや非営利団体、財団、企業など、すべての関係者が大きな恩恵を得て、社会の課題を解決することができる—。” そんことを著書を読むと痛感します。

創業者のダレルさんの「子供たちのために遊びの場をつくる」という情熱はとどまるところを知らず、今では世界中の国際会議で講演などをしつつも、今まで培ったノウハウ・知見をオンラインで公開することで公園作りを大規模展開することに成功している類い稀な社会起業家として知られています(書籍執筆時に2100だった今までに作られた公園の数は現在は約2400へ(毎年約200のペース)と増加、一方、公園作りのノウハウをオンラインで共有した結果約16,000もの公園が全米の各地域の有志で作られているとのことです。)

ダレルさんは今回は6月上旬にミャンマーで開催されるワールド・エコノミック・フォーラムに参加される旅の途中ということで初来日されたとのことですが、短い滞在期間の間にも東北をの地を訪れ、『』や『アーキテクト・フォー・ヒューマニティ』など、東北の地域で子供達の遊び場作りを推進している団体を訪れつつ、意見交換をされたとお話していました。

『カブーム!』を読んだ際、「このような試みが是非日本でも拡がればいいのに・・・」と思っていたことが、実際にこうした東北地域の先端的な活動をしている団体と情報交換をしながらコラボレーションを進めているということを伺い、本当に嬉しい瞬間でした。『プレイグラウンド・フォー・ホープ』の活動は以下の動画を見ていただくと非常によく伝わってきます。是非一度ご覧ください。

ダレルさんとテーブルを囲んで話をしながら、『日本の「社会イノベーション」の状況はどのようになっているの?』という話に及び、なかなかアメリカのように大規模にスケールするレベルの社会起業は多くはないものの、復興支援の文脈、或は大きな価値観の背景の中で社会的な課題を解決すること自体をビジネスとして始めようとチャレンジしている人は確実に増えている、とお話させてもらいました。

「海外ではスコール財団オミディア・ネットワークゲイツ財団ナイト財団エコーイング・グリーンなど、優れた社会起業プロジェクトに対して投資や助成が行われる生態系があることは非常に羨ましい」と指摘したところ、ダレルさんから返された答えは思いがけないものでした。

「最近のアメリカでは”社会起業”ブームのような現象もあり、出資を受け取るべきでない団体にもお金が投資されてしまっていることが多い。
先日もハーバードで講演をした後に興奮した学生が『あなたのようになりたい!』と駆け寄ってきたことがあり、その際何を具体的にやりたいか聞いたところ『社会起業家になりたいんです!』というやりとりがあったんだ」、ということを漏らしてくれました。

また、スタートアップの例えではあるものの、電気自動車ベンチャーとしてかつて8億5千万ドルを調達した「ベタープレイス」社が5月26日に破産したことに触れながら、社会イノベーションの分野でも今日「リーン・スタートアップ」の考え方が非常に重要である、と指摘していました。シリコンバレーのYコンビネーターなどが代表例ですが、小額の出資を行いつつ、メンタリングも提供して試行錯誤をしながら『小さく「懸ける」』タイプのアプローチの重要性は今後より大切になっていくだろう、と指摘していました。

参照:バッテリー交換式EVのスタートアップ「ベタープレイス」が破産 « WIRED.jp

ダレルさんの最近のプレゼンテーションの様子はこちらのTEDxカーネギーメロンの様子をご覧になることができます。

今回はカブーム!」を翻訳された関美和さんもディスカッションに参加され、著者と翻訳者との初対面という機会でもありました。

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関さんは以下のようなエッジの効いたとても素晴らしい本を次々に翻訳された方で、ダレルさんの本が関さんによって翻訳されたことはとてもとても素晴らしいことだと思いました。訳者あとがきにも想いあふれるメッセージが記されています。

・『ゼロのちから――成功する非営利組織に学ぶビジネスの知恵11』 (ナンシー ルブリン)
・『パブリック ―開かれたネットの価値を最大化せよ』 (ジェフ・ ジャービス)
・『アイデアの99% ―― 「1%のひらめき」を形にする3つの力』(スコット ベルスキ)
・『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる 』(クリス・ アンダーソン)
・『シェア ―<共有>からビジネスを生みだす新戦略』( レイチェル・ ボッツマン、ルー・ ロジャース)


英治出版さんとのご縁を頂いた翻訳書籍『魂を売らずに成功する』もこちらで紹介させていただきます↑。出版から3年の月日が経ちますが今なお有益なメッセージが込められている書籍です。この機会に改めて是非:)

最後にせっかくの機会なので自分もダレルさんと:)15年前に初めて「カブーム!」の公園づくりボランティアに参加したことは今でも鮮明に記憶に残っていて、「コミュニティの力」を心の奥底で支えてくれる力強い原体験になっています。ダレルさんとは毎年スコール・ワールド・フォーラムでお目にかかりますが来年春、また会えること、楽しみにしています!

市川裕康darell_ichi


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