スコール・ワールド・フォーラム報告会&交流会開催させて頂きました。
5月7日に開催させて頂いた「スコール・ワールド・フォーラム報告会」には、本当に沢山の方にご参加頂き、本当に有難うございました!(雨の日にも関わらずかからず50名弱の方がこのテーマに興味を持って頂いたこと、とても嬉しく思いました)。
ただ1点、非常に悔やまれるのが、当日直前まで準備していたプレゼンテーションスライドが、写真等も沢山盛り込んでいたにも関わらず、不慮の事態で完全に飛んでしまった(消滅)していたことに、プレゼン開始後気づくという失態を犯してしまいました・・・。
ということもあり、今後、少し丁寧に報告会でお伝えしたかったことをブログを通じて数回に分けてお伝えしたいと思います。少々お付き合いくださいませ。以下のようなテーマで可能な範囲で進めてみたいと思います。
*当日の様子に関し、参加・協力してくださった英治出版社の岩田さん、高野さん、そして『ソシアレ・サロン』にいつも参加してくださっていた藤村さんが有り難いブログ記事をアップしてくださいました。有難うございます!
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【1】「スコールワールドフォーラム」とは
【2】「TEDxVolcano」
【3】「これからの会議・イベントのあり方について」
【4】「コワーキングスペースムーブメントの潮流」
【5】「The Power of Pull」
【6】「社会イノベーションと広がるソーシャルメディアの利用」
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【スコール・ワールド・フォーラムとは】
~「社会起業家」をテーマに開催される国際会議、社会イノベーターが約800人集結。
インターネットオークションサイトとして著名なeBayの創業メンバーであり、初代社長であるジェフ・スコール氏が1999年に創設したスコール財団(http://www.skollfoundation.org)、英国オックスフォード大学のビジネススクールに2003年に設立したSkoll Centre for Social Entrepreneurshipが主催として開催される、「Social Entreprenuership 」をテーマにした国際会議。
世界中から社会起業家、投資家、非営利団体、中間支援団体代表等約800人が集う、今年で7回目を迎えるイベント。 毎年4月頃にイギリス、オックスフォード大学のビジネススクールにおいて3日間に渡って開催される。
過去のキー・ノートスピーカーとして、アル・ゴア元米国副大統領、グラミン・バンク総裁ムハマド・ユヌス氏、ジミー・カーター元米国大統領らが登場、今年は環境活動家、起業家、著者として『自然資本の経済―「成長の限界」を突破する新産業革命』を執筆したポール・ホーケン氏がキーノートスピーカーとして参加、その他、参加者としても、世界的な社会起業家支援団体アショカの代表ビル・ドレイトン氏、大学卒業後の若者に貧困地域での教職に2年間の従事する機会を提供する「ティーチ・フォー・アメリカ」創業者ウェンディ・コップ氏、インターネットを利用した途上国における起業家への融資を可能にした「Kiva」創業者マット・フラナリー氏、貧困地域の若者へ教育・トレーニング施設を運営するビル・ストリックランド氏らが参加。
会議の構成としては、様々なセレモニー、分科会、レセプション、ネットワーキングイベントが開催される。特に今年のテーマは “Catalyzing Collaboration for Large Scale Change” (大きなスケールでの変革を起こすためのコラボレーションの触媒・繋がり)、ということでセミナー中、ロビーフロア、ホテル、食堂等、あらゆるところで交流、ネットワーキングが開催されていました。 もちろん、会議の開催前後において参加者専用のSNSサイトがあり、そちらでも交流が活発に行われています。学びと気づきのの場であり、大きなネットワーキングイベント、と言えるかもしれません。
*例年参加している複数の人曰く、今まではスピーカーが話をして、参加者は聞くだけ、という印象が強かったが、今年はとてもフラットで、スピーカー、参加者(多くの人がスピーカーとして参加していてもおかしくないような人々)が、インタラクティブに交流、コラボレーションできるような雰囲気であった、とのことでした。なお、今年の新しい試みとして、会場から道路を挟んだ徒歩3分のところにあるカフェにおいて「OxfordJam」という名前で開催されたサブイベントにおいて、スコールに参加が適わなかった人、自発的にプロジェクトを行っている人によるワークショップ、セミナー、そして夜にはタレントショーのようなものも開催され、より手作りの雰囲気が醸し出されていました。
会議の様子は以下の写真スライドをご覧になって頂けます。
今年の各分科会のテーマは以下の通りです(抄訳)
【2日目】
09.00 – 10.30
・シングル・ボトムラインを越えて~ブレンデッド・バリューのパイオニア達
・未来を舵取りする~社会起業家のためのシナリオ・プランニング
・平和構築と紛争~社会起業家の役割
・コラボレーションを構築する~パートナーシップと新しいビジネスモデル
・変化のニューロサイエンス(神経科学)~脳を理解し、行動に影響を与える
11:00~12:30
・強烈でワイルドで止められないムーブメントとコミュニティをいかに作るか
・アカデミックとのパートナーシップ~伝統と変形する変化をバランスさせる
・社会的によいことと市場のリターン?投資家と起業家は両方持っている。
・多数による力~協業によるインパクトと評価について
・水の枯渇と水に対する人権
14.00 – 15.30
・援助団体と社会起業家~自然な連携と新しいかけ橋
・人の心を掴む行動~情報過多の時代における、社会を変えるメディア
・グローバルレベルで求められる地域の人材戦略
・危機に瀕した海洋~生まれ出る国際的なコラボレーション
・危機が発生する時~危機管理をする社会起業家
【3日目】
09.00 – 10.30
・コペンハーゲン後の気候変動問題~草の根からのコラボレーション
・各社会問題毎での、寄付提供者間のコラボレーション
・政府と社会起業家~パートナーシップと下請け(サブコントラクト)
・大きくて現実的なインパクトのための、次世代ソーシャルメディア
・実践者のためのクリニック~成長の為のソーシャルファイナンスを引き出す
11.00 – 12.30
・炭鉱のカナリヤ~21世紀における新型インフルエンザ(H1N1)とグローバルな脅威への備え
・気候変動、社会的需要、食料の安全保障~狭間に立つ社会起業家
・コラボレーティブなリーダーシップ~実践的なツール集
・イノベーションとインパクトのためのネットワークを再構築する
・お金の色~インパクトを与えるためのソーシャルファイナンス実践者によるコラボレーション
会議の大テーマが『コラボレーションを触媒する(繋げる)』とのことだったので、各分科会のテーマ
の中の多くに「コラボレーション」の言葉が含まれてます。また、扱うテーマが、水、環境、気候変動、貧困、途上国支援、パンデミック等のグローバルな問題が多いのが印象的でした。
個人的にとても印象深かったのが3日目に参加した二つのソーシャルメディアに関しての分科会でした(以下の動画の3:34~4:57を参照)。
新刊本「The Power of Pull」(著者:ジョン・シーリーブラウン、ジョン・ヘーゲルIII等)を冒頭に引き合いに出しながらプレゼンをされた伊藤譲一さん(クリエイティブコモンズ会長)は、「ソーシャルメディアがなぜ有効かというと、本当に必要なまさにその時に必要な人、リソースを引き出すことが出来ることだ。社会起業家の視点で考えるならば、正社員を少なくし、必要な時に助けてくれるボランティアを多く抱えるようなものだ」と以下の動画(4:33~4:57)でも訴えていました。なお、会議全体を通じてツイッター等が頻繁に使われているかというと、そうでもなく、その分プレゼンを聴きながら深く頷き重要性を実感している人が多数いる一方で、リタラシー格差やプライバシーの問題点を指摘する人もいました。
なお、会議を通じて、意外とよく聞かれた議論として、「社会起業家の定義とは?」と日本でもよく話題になるような神学論のような論争があちこちで行われていて、これは国を問わずまだまだ明確に整理されてないグレーな部分があることも感じました。ただ、付け加えるならば、スコール・ワールド・フォーラムも7回目を迎えたことで、初期のフォーラムに比べ、「社会起業家」という言葉が単なる新しいコンセプト、というよりは、より多くの人、組織が国、業界セクターを超えて真剣に規模感を持って参加するムーブメントとなっている様を強く感じるものでした。*報告会では、第3回スコールフォーラムに参加されたことがある武田薬品工業の金田さんもそのようなことをお話し頂きました。
最後に、ジェフ・スコール氏のビジョンに関しては日本語字幕付きの以下のプレゼンテーション(TED / 2007年3月)をご覧下さいませ。ジェフ・スコール氏はかつて教わった言葉、例えば「Betting on good people doing good(いいことをしている、いい人に賭けなさい(支援しなさい)」という言葉に大切にして、様々な試みを通じて、「Invest(投資)、Connect(繋げる)、そして Celebrate(称賛する(アワード授与等))」の活動を行っている、とのことです。特に社会によい活動にスポットライトをあてる映画のみを撮っている映像プロダクション会社「participant media」のことについての話に時間が割かれています(「不都合な真実」を制作したプロダクション会社です)。
補足:
現在国際的なレベルで社会起業家、社会イノベーションをテーマにした国際会議がいくつかあるので簡単なコメントと併せ、リストしてみました。
■SOCAP(サンフランシスコ)2008年に創設されたソーシャルキャピタルマーケットに関する会議。スコールワールドフォーラムと並び社会起業家をテーマにした規模の大きな会議、VCコミュニティ、ハイテクバックグラウンドの参加者も多い。*日本語での紹介記事
■TED Technology, Entertainment, and Designの略。近年日本でも知名度が上がっているセクターにとらわれず、創造的なスピーカーによる各18分の質の高いプレゼンテーションで知られる。インターネットでほぼ全て公開され、翻訳もコミュニティにより多くつけられていて、TEDxという名前の地域ごとの試みも広がっている
■世界経済フォーラム(*ダボス会議)(ダボス、スイス) 世界の政財界トップレベルが集う会議として日本でも近年知名度が高まっている国際会議。
■PopTech (メイン州 アメリカ) メイン州郊外の歴史ある劇場で数日間に渡って開催されるTEDのようなイベント
■Clinton Global Initiative クリントン元米国大統領により始められた社会イノベーターのための会議。特徴は各自会議でコミットメント(約束)を発表、それを達成しないと次回参加できないということを取り決めとしている。
■SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト) テキサスで開催される約1週間の会議、音楽部門、映像部門、そしてウェブサービス部門等のトラックに分かれているが、その中でも近年社会貢献分野での活動をしている人の参加が増えている。
■Opportunity Collaboration 完全招待制、約150人のみでの1週間弱に渡ってメキシコのリゾート地で開催されるこの会議にはキーノートスピーカー、パネリストがおらず、それぞれが持っているものを持ち出し、共有して、コラボレーションをうむことに特化した会議。貧困撲滅を主要なテーマとして掲げている。
■Harvard Social Enterprise Conference ハーバード大学の学生が主催で開催される社会起業家に特化した1日間の会議。ハーバード卒業生、教授を多く含む豪華なスピーカーがプレゼンテーションを繰り広げ、、ネットワーキングが行われる。
■ ビジネススキルを社会をよくするために使うことを目的に主に、MBA学生のネットワークにより作られた組織の年次総会イベント
■BSR Conference 大企業のCSR担当者が集う会議
■All Day Buffet (Feast) ニューヨークで開催される社会イノベーターを集めた1日のイベント(地域版
TEDのようなイメージ)
■Palomar 5 米国内の諸都市を5週間かけてロードショーのように旅する社会イノベーター向の教育プログラム
■Social Enterprise Summit (by Social Enterprise ALliance) 社会起業をテーマにした歴史のある会議、NPO団体の参加が多い印象