【イベント参加レポート】グラミンバンク、ムハマド・ユヌス氏来日記念セミナー
先日アカデミーヒルズで行われたグラミンバンク総裁、ムハマド・ユヌス氏のセミナーに参加する機会がありました。簡単に報告いたしますね。
イベント概要はこちら
『ノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏来日記念セミナー
貧困のない世界を創る ~ソーシャル・ビジネスと新しい資本主義~』
主催:早川書房 | 特別協力:アカデミーヒルズ
よく晴れた日曜日の15:30からのセミナーに約500名の参加者がびっしり。ユヌス氏がノーベル賞受賞者故の注目度も当然ありながらも、待ち時間の合間に彼の著書を読んでいる方がいたり、比較的20代・30代の若い世代を中心に、とても熱心な方が、世代を超え、固唾を呑んで聞き入っていたのが印象的でした。 とても刺激的(inspiring)な話が多く、多くの人の心を揺さぶる、そんなセミナーでした。またモデレーターの米倉教授が実にうまくユヌス氏の魅力・コメントを引き出し、観客からの質問もうまく一体感を創りだしながら議論を導いてくださったことも今回のセミナーの成功に繋がったと思います。
まず45分程度はユヌス氏によるグラミンバンクの経緯、現在などについての概要のお話。バングラディシュの大学を卒業、フルブライト奨学生としてのアメリカ留学を経て、バングラディシュの大学で経済学の教鞭をとっていた1970年代、大飢饉、大洪水に見舞われ、何万人もの人々が餓死していく様を見て、何かしなければ、と教室を出て、まず目の前の問題解決に取り組んだところから始まりました・・・。貧困のスパイラルに陥っている42人の女性に27ドルを渡し、自立を促し、そのお金も完済されたということから始まり、今では800万の口座数、職員数28000人、貸出額が毎月100億円くらいで、口座保持者の97%が女性、デフォルト率が0.5%程度とのこと。the rest is history…とはこのこと、と思えるほど強烈な実績を誇り、2006年のノーベル平和賞受賞に繋がっています。
詳細は早川書房から販売されている書籍を読まれるか:-)、例えばオールアバウトの記事に簡潔にまとめられています。
英語ですがこちらでセミナー動画もご覧になれます(2008, Jan.)
講演第2部は、日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授の米倉先生とのダイヤローグ。例えばグローバル資本主義の弊害に疑いの目が向けられているがどう思うか、との問い対し、資本主義の定義が狭義にしか解釈されてないことが問題で、利益の極大化を目指す資本主義ではなく、利益追求はあくまで手段であり、社会を、世界を変えるようなソーシャル・ビジネスを通じて幸福(happiness)の極大化することが出来る、とのお話。
また、「しごと」についても一言。みながいい大学を出て大企業で働く、組織の中で働くということが当たり前になっているが、全ての個人が起業家としての素質を持っている、と説きます。社会問題を解決する際に、政府は動きがそもそも遅いものだけれど、個人であればより小回りを利かせ、早く修正、取りやめ、改善などが出来ることが強み、と。
仕事はjob seekerとして捜し求めるものではなく、job giverとして、self employment (自営業)、或いは人を雇うくらいのことを目指すべき、そんな選択肢があってもいいのでは、ということを話していました。
お話をしながらぽんぽんとアイディアが出てきて、通訳の方が追いつけないほど饒舌、早口でニコニコしながら夢や希望を語るユヌスさんの姿が、とても印象的でした。恐らくそんな姿に心震わされ、勇気もらった人が多かったのではないかと思います。例えば、ということで、日本で配布される定額給付金を、グラミンバングの仕組みを利用して社会の役に立つお金の流れができるのでは・・、グラミン・ジャパン是非作りましょう・・♪なんて話も飛び出しました。
講演の最後の閉めに語った彼の夢は、貧困のない世界を創り、貧困を目にするには「貧困博物館」に行かなければいけないような時代にしたい、とのこと。大きな拍手で講演が締めくくられました。
当然バングラディシュと日本の経済発展の段階の違い、国の文化・社会事情が異なることもあり、誰もが起業出来るものではなく、またすべきではない、とは思うものの、元気と刺激をたっぷり得られるメッセージッセージとしては本当に本当に素晴らしい講演でした。関係者の方に感謝です。
【おまけ】ユヌス氏のエピソード・インタビューも含まれた、社会起業家・ソーシャル・ェンジに関してのスコール財団のよくまとまった動画(約9分間)がこちらにあるのでご興味がある方は是非♪
「Social Entrepreneurs: Pioneering Social Change」